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暮らしにまつわる手づくり市
未知の奥 -みちのく- 峠の市
May 25 2016

     

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お天道さんがお山に顔を出すころ峠を上る者ありけり

お月さんがお山に気配を忍ばせるころ峠を下る者ありけり

春から秋にかけての寒くない間、追分温泉の芋煮の庭にて、毎月第三日曜日、

暮らしにまつわる手づくり市、『未知の奥 -みちのく- 峠の市』が開かれる。

去年の春から始まり、次回、6月19日で9回目を迎える。

市について、この北上という土地について、峠の市を主催されている三人の女性、写真左から、

今村悦子さん(えっちゃん)、齋藤寛子さん(ひろぴー)、佐々木麻衣さんにお話を伺いました。

 

地元を出たくて、旅が好きで、金髪時代があって、感覚が似ているわたしたち

 

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ー峠の市のメンバーの3人はどのようにして集まったんですか?

 

麻衣 : 去年の4月にえっちゃんと初めて峠の市を開催して、石垣に移住していたひろぴーが

石巻に帰ってきて8月の峠の市で歌ってくれて。その後から、ひろぴーにがっつり手伝って

もらっています。

 

ひろぴー :  そう、歌で。そのライブの話は前日ぐらいに聞いたんですけどね笑

 

ーライブを経て、峠の市を手伝おうと?

 

ひろぴー :  峠の市の存在は、もともと知っていたし、あわよくば手伝いたいなあと。

こんなのが地元でやっているんだと思って。石垣島と似ている部分もたくさんあって。

 

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ー石巻に帰ろうと思ったきっかけはなんだったんですか?

 

ひろぴー :  石巻に帰ろうと思ったきっかけはいろいろありました。震災後にいろんな人が

来て、面白そうだなとか。峠の市っていうのがあるんだなとか。意外と石巻、面白いこと

がたくさんあるのかもって。でも、石巻すぐに飽きるんじゃないかって、その心配ばかり

していて。石巻が嫌で出ていったから。

 

ー希望の反面、不安があった。

 

ひろぴー :  意外とあった。生まれ育った場所だからこその、なんだろ、いしのまきかあ~

みたいな。でも、石垣で私は変わって、そう、石垣。私が石垣にいた当初は、金髪で。

 

ー金髪ですか笑

 

麻衣 : あたしは学生時代パンクファッションで金髪でした。

 

えっちゃん : わたしも19のとき金髪だった。

 

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ーみんな金髪!反骨精神の象徴でもありますよね。みなさん何かにいらいらされてました?(笑)

 

麻衣 : この街に対してですかね。はやくここから出たいって思ってました。中学からずっと。

私は特に、この十三浜という小さいコミュニティのきつきつ感が嫌だったのかなあ。隣の

ご近所さんとの距離感とか。今はそれが心地よかったりするんですけど。

 

えっちゃん : 多いよね、石巻の人って、出たがる人。

 

ひろぴー : わたしは街の中途半端さが嫌だった。全てが。中学から19才ぐらいにかけて。

田舎なら、ど田舎!みたいなのが良かったんですよ。都会なら都会!みたいな。わたしは

ぜんぶ石垣に教えてもらった。地元のお祭りとかまったく興味なかったけど戻ってきてか

らはいろいろ行ったりした。

 

麻衣 : メンバーはみんな旅好きで、いろんなところを歩いてきているから、感覚が似ている

んだよねえ。

 

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えっちゃん : 旅は好きで、わたしも沖縄に住んでた。結婚式も沖縄。その後の新婚旅行で、

世界一周の最中に震災が起きて、地元だったから帰ってきた。

 

麻衣 : 私は前の仕事を辞めた後、山陰、九州、四国を回りました。車生活をしながら(笑)。

 

からだにいいものが欲しくて、自分たちで作っていった、手作り峠の市

 

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ー感覚が似ているメンバーが集まって開催している峠の市。最初、どのように始まったんですか?

 

麻衣 : 旅を終えて地元に戻ったあとに、知り合いだったえっちゃんが北上に移住するって

聞いて。近くでからだにいいものを買える場所がないから、欲しいねってなって。じゃあ

作っちゃおうって。場所は、元々は追分温泉さんの芋煮会をするための裏庭。芋煮の時期

以外は、使われていなくて無法地帯で。素敵な場所だからもったいないと思って。社長さ

んに使わせてもらえませんかと聞いたら、「若い人に使ってもらえるのは嬉しい。」と

言ってもらえたんです。

 

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ーからだにいいものがほしい、という想いと、出店者の方々は関係しているんですか?

 

麻衣 : そうですね、出店者さんは、からだに気遣ったものづくりや食べ物づくりをしている

方々で。誰でも出店してください、というわけではなくて、ちょっとだけボーダーラインを

引かせてもらっていて。わたしたちの想いに共感していただいた方を、お誘いしています。

最初は少なかったけど、少しずつ増えていきました。今は大体15店舗、出店してますね。

 

衣食住、暮らしにまつわるものをみんなと共有する場

 

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ーからだにいいものを大切にされるきっかけはなんですか? 市では料理も提供されてますよね。

 

麻衣 : きっかけになったのは衣かもしれないです。学生時代は真っ黒い服ばかり着て、食べ

物も全然気をつけていなかったんですけど、服飾の専門学校の卒業制作をするときに、自分

の名前「麻衣」の麻のルーツを探っていったら、思考が変わって。そうしたらファッション

が変わって、出会う人が変わって。出会った人が作ったご飯とかに少しずつ影響を受けてい

きました。今まで教えてもらった知識とか、気付かせてもらったこと、峠の市でも広げてい

けたらなって。ちゃんと伝えていかないとって。

 

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ー衣の先に、食。衣食住ですね。それで言うと、えっちゃんはなぜ、北上の古民家に?

 

えっちゃん : 子供ができたのがきっかけで。妊婦さんになって、さて、何食べたらいいのか

なって学んでいたんだけど、スーパーに行っても何を買っていいかわからなくて。それで、

前からの願望だった畑をやってみたいなって。その話を主人にしたら、彼も興味があったみ

たいで。ちょうど知り合いの方がこの家を紹介してくれて。ここだったらできるかもって。

なるべく電気やガスを使わない生活。電気代は2千円くらいですね。子供がいる人って、

そういう悩みを抱えた人がたくさんいると思うし、峠の市はママさんたちにも来てもらい

たいなって思います。

 

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ーママさんたちのコミュニティの場。

 

えっちゃん : そう、子供を自由に遊ばせられるし、そんなに危ないものもないし。

 

麻衣 : それに、誰かが子供を見ていてくれるから。お母さんが解放される場所。

 

えっちゃん : お母さんマッサージ受けていたりするもんね。

 

訪れる人が、いいものを自然に受け取ってもらえる場所を目指して

 

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ー子供から大人まで、訪れる人を心地よくしてくれる峠の市。

今後はどういう場にしていきたいですか?

 

えっちゃん : メッセージ性の強い場所になってほしいな。この子を妊娠するまで、ファース

トフードでもカップラーメンとかなんでも食べていてたし。自分でも気付いていないものは

まだまだあると思うし、そういうものを共感しあえる場にしていきたい。

 

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ー押し付けがましくないメッセージ性がある場所だなって思いました。自然と入ってきます。

 

麻衣 : そこを目指したいですね、これいいよね、取り入れようとかじゃなくて、わたしたち

がいいよねって発しているものを自然に受け取ってくれたらうれしい。今、継続的に出店し

てくださっている人も、その考えに共感してもらって来ていただいてるなって。こんなに

遠い場所で申し訳ないんですけど。

 

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ひろぴー : 押し付けがましいものは、たくさんあるじゃないですか。そういうのがすごく

苦手で。私はまだまだ帰ってきたばっかりだから、二人を少しでもサポート出来ればと思

います。

 

麻衣 : もはや、ひろぴーあっての峠の市。

 

えっちゃん :うん、市の雰囲気がもっと柔らかくなった。

ひろぴー : あっ(照)

 

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ー最後に、北上に住んでいる先輩として、この土地に訪れる人へメッセージをお願いします。

 

えっちゃん : 自然を感じることかなと思います。わたしが最初住み始めたときは、虫とか

「なんでいるの?」みたいな。納屋にカモシカがいたり。嫌で家出したいとか思ったりした。

でも、やっぱり虫や動物は、先に住んでいたわけだし。人と人もそうだけど、先に相手のこ

とを知らないと。自分もこの土地と本当に打ち解けることはできないだろうなって。受け入

れたら楽しくなったよって伝えたい。

 

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息を吐き出せば、からだに入っている力が抜ける。

力が抜けると、周りが見える、聞こえる、感じられる。

感じる力をたくさん蓄えられる場所。

それはつまり、自分自身に戻ることができる場所。

本当の自分が何を求めているのか、自然あふれるこの土地で、しっかり感じていきたい。

 

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『未知の奥 -みちのく- 峠の市』

address|宮城県石巻市北上丁女川大嶺1 追分温泉 芋煮の庭

open | 10:00〜15:00

contact | touge-no-ichi@outlook.jp  090-8255-2702 (佐々木)

write |  Yu Shimawaki

photo | 佐藤 赤