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薬膳ごはんと中国茶で過ごすゆっくりな時間
穀雨茶房もも
June 29 2017

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今年の5月、「駅北」と呼ばれる地域に、薬膳ごはんと中国茶を愉しめるお店「穀雨茶房もも」

がオープンした。石巻駅から6分ほど歩くと、住宅街の中にひっそりと佇むお店を見つける。

 

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戸を開くと、木の床と壁、おだやかな自然光と照明、お茶と朝焼きスコーンの香り。

五感に優しい空間がふわりと広がっている。

 

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店名にある「穀雨」とは二十四節気の言葉のひとつ。一年を春・夏・秋・冬の季節に分け、

それぞれをさらに6分割した24の期間に名前をつけたもの。現在でも季節の節目を示す言葉。

お店のランチは、細やかに変わる季節に応じて旬のものを取り入れた薬膳ごはん。

 

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こちらが穀雨定食。季節の彩り食材がたっぷりと。

車麩と豚バラの紫蘇入りタルタルソース、彩りサラダ、沖縄もずく、だし巻きたまご、

生春巻き、揚げ豆腐の山形だしのせ、カリフラワーのスープ、くだもの、遠藤農園さんのご飯。

 

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そして薬膳咖哩。辛さは、食べた瞬間に感じるような表面的なものではなく、じわっと静かに

遠くからやってくる。カレーの味も何層にも重なっているようで、香りと共に身体の中に深く

染みこんで広がっていく。これは、メニューの説明書きにある「五味」に秘密が隠されている。

 

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「酸、苦、甘、辛、鹹」は、すっぱい・にがい・あまい・からい・しょっぱいの意味。五味は

「陰陽五行理論」に基づいており、中国を起源とした東洋医学の根幹を成す基本的な考え方。

お店で出す料理は全てこの理論をもとにそれぞれの味覚を味わえるように作っているとのこと。

 

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販売されている薬膳茶にも、この考え方が活かされている。こちらのチェックリスト、

「動悸がする」「目が疲れてかすみやすい」「緊張しやすい」など各症状が並んでいる。

 

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自分にあてはまるものをチェックすると、身体の状態にあった薬膳茶を選んでもらえる。

これからは自分の身体に優しいお茶の時間を。

 

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ココロとカラダが悦ぶ時間を共有してくださるのは「穀雨茶房もも」の店主・門間 明美さん。

石巻市桃生町出身。調理専門学校を卒業後、仙台のお菓子屋さんに勤める。パティシエとして

始まった門間さんのライフスタイルは、日本の季節のように少しずつ移り変わっていく。

 

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最初のお店「雑貨屋もも」を始めた頃の写真。中国や台湾を旅し、中国茶の美味しさに魅了

され、中国茶をメインにしたお店「雑貨・茶ろん もも」を開店したのが「もも」の歴史の始まり。

 

中国茶インストラクターの資格を取りに東京へ学びに行きました。台湾のお茶農家に泊ま

 こんで、2〜3日不眠不休で自分の茶葉を作ったり。最初のお店を開いたのは2002年

 から15年前。当時、ひとりで来ていたお客さんが最近子供を連れて来てくれて、今では

 すっかりお母ちゃん。」

 

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その後、2012年。仙台へ拠点を移して「うつろひカフェ+茶ろん もも」を開店。しかし、

翌年に甲状腺癌の告知を受け、全摘出手術を経て栃木県へ養生のため転居することに。栃木で

の暮らしは、今までとは打って変わってゆっくりとした時間が流れていた。結果的に門間さん

はそこで日々を豊かに過ごすことにおいて大切なことに気づき、現在のお店の構想を思いつく。

 

「栃木に行ってのんびり過ごしていたら、日本の風土だったり季節だったりとか、やっぱり

 いいなあって。それをどうしても取り入れたくなって。今までバーっとやってきて気づか

 なかった。頑張らなくちゃってすごい無理してて、気にも留めなかった。」

 

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ゆっくり過ごすからこそ、細かな変化と日常に潜むささやかな幸せに気づくことができた。

食べるもので体調が変わることを実感した門間さんは、国立北京中医薬大学日本校へ入学。

さらに専門的に中医学と薬膳を学んだ。

 

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門間さんの情熱と探究心は、お店に置かれている商品の品揃えにも現れている。

 

「1個1個の商品は、つながりがあっての商品です。生産者と話したり、どうやって作って

いるんだろうとか、そういったお話を踏まえて、ちゃんと紹介できるものを紹介したい。

なので、つくり手とつたえ手。品数は少ないけれど、自信を持っておすすめできます。」

 

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商品のつたえ手の他にも、学びのつたえ手も準備中。その名も、「くらしの研究室」。

コンセプトは「くらしにちょっと楽しいエッセンスと研究の場を」。二十四節気を面白く

組み込んだワークショップや、中国茶教室を企画していく。

 

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「ゆっくりいきましょう」。

 

お店のスタッフとの会話の中にも何度か出てきた言葉は、頭の中にゆっくりの種を蒔いた。

忙しいと感じることがおそろかになる。感じられないと変化に気づけない。少しずつ変わっ

ていく自然と重ね合わせて、自分も変わっていくことが自然体。自分の内側に目を向けて、

耳を傾けること。優しい時間がふりそそぐ「穀雨茶房もも」は、大地を潤すめぐみの雨の

ように私たちのココロとカラダを癒していく。

 

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入口の戸は、初めてお店を開いた頃から変わっていない。

 

「穀雨茶房もも」

address|宮城県石巻市駅前北通り3-3-23(駐車場は道路向かいに8台分)

open|11:00~18:30(ランチ11:30 ~)

close|木曜・第2第4日曜休み (その他臨休についてはHPをご確認下さい)

tel|0225-24-8134

url|https://www.sabo-momo.com/

photo|平塚 絵理奈&シマワキ ユウ

write&edit|シマワキ ユウ