アイトピア通りでひときわ存在感を放っている、観慶丸本店。言わずと知れたそのお店は
江戸時代から続く老舗。「観慶丸」は当時の千石船の名前。船が行商から帰ってくる際に積
まれた陶器の販売から始まった商売が、平成になった今も続いています。店と通りを仕切る
大きな窓の向こうには、洗練されたディスプレイ。
広々とした空間に並ぶ商品の数々。ずっしりとした陶器、なめらかな質感のカトラリー、
肌触りの良い布製品、きらきら輝くアクセサリー。陶器店という名にとらわれず、さまざま
な生活雑貨を取り扱っています。
一度お店を出て通りの向かい側に渡った先には「カンケイマルラボ」。こちらは普段は建築
事務所となっていますが、毎月約10日ペースで陶芸作家さんの個展が開かれています。こ
こでは1人の作家さんの作品をじっくり見られるので、普段は見逃してしまっていた出会い
があるかもしれません。
個展開催期間にはカフェもオープンしています。
観慶丸本店9代目の店長である須田マサキさんは、東日本大震災が起きるまで東京で働いて
いました。奥様の実家である観慶丸本店が被災したことを受け、店を引き継ぐことを決意。
店舗を再開させたのちに、使われていなかった観慶丸ビルを建築家の奥様がリノベーション
し、2014年にこのカンケイマルラボをオープンさせました。
商品仕入れでは陶器という縛りはなく「作っていることに意味を感じるもの、自分が欲しい
と思えるもの」にこだわっているそう。
そんな想いのある商品は高価なものが多いのでは?と思いますが、本店に並ぶ商品は意外に
もリーズナブルなものも。素敵な雑貨が数百円から手に入れることができます。「器好きが
来る店というよりも、店に来て器を好きになってもらえる店を目指しています」と須田さん。
日常に取り入れやすく、かつ丁寧に作られたものを厳選して販売しています。
江戸時代から続くお店を引き継ぐことにプレッシャーはなかったですか?と聞くと「これま
での歴史が、というよりも、良いものを知って欲しくてやっているので。そうして続けてい
くことが、自然と歴史になっていくものだと思います」と。カンケイマルラボを作ったのも
そんな思いから。これまでに続いてきたもの、新しく生まれるもの、両方を先に繋げていく
ことを目指して取り組みを続けています。
石巻で最も歴史の長い商店は、出会いと商品に込められた想いを大事にしていました。日常
にちょっとしたこだわりを加えたい、大切な誰かへのプレゼントを探している。アイトピア
通りを通りがかったら、お店を覗いてみてはどうでしょう。毎日を今日よりもちょっと心地
良く暮らすための、永く大切にしていきたいものがきっと見つかるはず。
観慶丸本店
address|宮城県石巻市中央2-8-1
tel|0225-22-0151
カンケイマルラボ(イベント期間中のみ営業)
address|宮城県石巻市中央2-3-14
tel|0225-25-7081
open|ともに10:00〜18:00,火曜定休
url|http://kankeimaru.com/
photowrite |Akiho Sato
edit|Yu Shimawaki